コラム法務

国土地理院の航空写真は商用利用できるか ― 出典表示のしかた

2026-08-14 ASI株式会社

結論

国土地理院の地理院タイル(航空写真)は、出典を明示すれば商用利用できます。「出典:国土地理院(地理院タイル)」のように表示します。編集・加工した場合は、その旨も併記します。ただし測量成果としての複製・使用にあたる場合は、別途申請が必要になることがあります。

国土地理院の地理院タイルは、全国をカバーしている唯一の無料の航空写真です。 営業リストの作成に使えるのか、出典はどう書くのか、そして解像度の限界はどこか。 実際に使っている立場から書きます。

結論 ― 出典を書けば商用利用できます

国土地理院のウェブサイトで公開されているコンテンツは、 出典を明示すれば、申請なしで複製・公衆送信・翻訳・変形・翻案ができます。商用・非商用を問いません。

「営業リストを作るために航空写真を見る」「切り出して画面に表示する」といった使い方は、この範囲に入ります。

出典の書き方

場合書き方
そのまま使う出典:国土地理院(地理院タイル)
加工して使う出典:国土地理院(地理院タイル)を加工して作成
ウェブ地図に表示する地図の隅に「国土地理院」と出典を常時表示する

この記事に載せている画像も、切り出して並べているので「加工して作成」にあたります。 各図の下に出典を書いているのは、そのためです。

測量成果としての複製・使用にあたる場合は、別途申請が必要になることがあります。 測量法に基づく手続きで、地図の複製・使用とウェブサイトのコンテンツ利用は扱いが違います。 自社サービスに組み込む前には、国土地理院のコンテンツ利用規約と測量成果の利用手続を確認してください。 この記事は法的助言ではありません。

何が手に入るのか

①航空写真(全国最新写真)

項目内容
カバー範囲全国
地上解像度約0.48m(1画素が地上48cm四方)
費用無料
撮影年度地域によって異なる

②年度別の航空写真

撮影年度ごとの写真が、別のレイヤーとして公開されています。 さかのぼれば「パネルが写り始めた年」が分かり、設置時期が推定できるはずでした。

ただし実測したところ、地域によって使える年度が2〜3年度しかありませんでした。

地域利用できた年度の数
愛知県犬山市/鹿児島市2年度
京都府/兵庫県姫路市/東京都練馬区3年度

詳しくは卒FITの家をリスト化できるかに書きました。

③建物の輪郭データ(地理院地図Vector)

これが、実はいちばん使えます。 全国の建物の輪郭が、無料・商用可で手に入ります。

実測では、610メートル四方の範囲ひとつから438棟の建物が取れました。 ここから床面積で絞り込むと、住宅らしいものが残ります。

種別棟数割合
戸建て(床面積40〜400平方メートル)2,076棟78.8%
集合住宅と思われるもの46棟1.7%
その他(倉庫・車庫・工場など)513棟19.5%

床面積の平均は124.3平方メートル、最小15平方メートル、最大1,900平方メートルでした。

この建物データがあるので、地図サービスの写真をなぞって輪郭を作る必要がありません。 Googleマップの規約ではトレースが禁止されているので、これは重要な点です。 詳しくはGoogleマップの航空写真を営業リストに使ってよいかをご覧ください。

限界 ― 解像度が足りません

正直に書きます。地理院タイルの航空写真だけでは、太陽光パネルの判定はできません。

住宅用のパネル1枚は約1.65m×1.0mです。1画素0.48mなので、パネル1枚は3.4画素にしかなりません。 パネルとパネルの境目(格子)は、1画素より細いので原理的に写りません。

同じ家を地理院タイル0.48mと自治体オープンデータ0.24mで並べた比較
左が地理院タイル(1画素0.48m)、右が犬山市の公共測量成果(1画素0.24m)。同じ家です。 左では屋根に何が載っているか分かりません。
出典:国土地理院 地理院タイル/犬山市 公共測量成果(CC BY 4.0)

実測では、この差で6棟中2棟を見落としました。 さらに資源エネルギー庁のFIT公表データと突き合わせると、群馬県太田市の推計設置率は約22%なのに、 0.48mの写真だけでの判定は0.5%でした。桁が2つ違います。

解像度を補う ― 自治体のオープンデータ

一部の自治体が、公共測量成果をオープンデータとして公開しています。 多くはクリエイティブ・コモンズ表示(CC BY 4.0)で、出典を書けば商用利用できます。

地域地上解像度地理院タイルとの比
京都府(府域の広い範囲)0.24m2倍
大阪市0.24m2倍
東京都練馬区0.24m2倍
兵庫県姫路市・朝来市0.24m2倍
鹿児島市0.24m2倍
愛知県犬山市0.24m2倍
滋賀県長浜市0.24m2倍

合計で約536万人、日本の人口の4.3%です。 裏を返せば、95.7%の地域では0.48mの写真しかありません。

これが、私たちが対応エリアを正直に表示している理由です。 「全国対応」と書くことはできますが、書いた瞬間に嘘になります。

使い分けの整理

用途使うもの費用
建物を1棟ずつ拾う地理院地図Vector(全国)無料
地図として表示する地理院タイル(全国)無料
パネルを判定する自治体のオープンデータ(8地域)/購入した写真無料〜有償
設置年を推定する年度別写真(年度数が足りない)無料

地理院のデータは「建物を拾う」ところでは全国どこでも使えます。 足りないのは判定用の解像度だけです。ここをどう埋めるかが、この事業の中身になっています。

よくあるご質問

地理院タイルは無料で使えますか

出典を明示すれば、申請なしで商用利用できます。ただし測量法上の「測量成果の複製・使用」にあたる場合は、別途申請が必要になることがあります。

出典はどう書けばよいですか

「出典:国土地理院(地理院タイル)」のように、コンテンツ内に明示します。加工した場合は「(国土地理院の地理院タイルを加工して作成)」のように、加工した旨も併記します。

地理院タイルより解像度の高い写真はありますか

一部の自治体が、公共測量成果をオープンデータとして公開しています。実測では京都府・大阪市・練馬区・姫路市・鹿児島市・犬山市・長浜市・朝来市の8地域で、国土地理院の約2倍の解像度が使えました。

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