コラム蓄電池

蓄電池の営業先はどう探すか ― 卒FITの家を見つける方法

2026-08-14 ASI株式会社

結論

蓄電池の営業先は「太陽光を設置して10年が経つ家(卒FIT)」です。設置時期は年度別の航空写真をさかのぼれば推定できますが、実測した5地域では公開年度が2〜3年度しかなく、数年幅でしか絞れませんでした。現時点では、卒FITの絞り込みは航空写真だけでは実用になりません。

蓄電池は、太陽光と違って「すでに太陽光が付いている家」が営業先になります。 探し方の考え方が逆転するわけです。 この記事では、その見つけ方を4つ並べて、それぞれ実際にどこまでできたかを書きます。

誰が見込み客になるか

状態蓄電池の見込み度理由
卒FIT(設置から10年経過)最も高い売電価格が下がり、自家消費に切り替える動機がある
設置から7〜9年高いもうすぐ卒FIT。事前の検討が始まる時期
設置から間もない低いまだ高い価格で売電できている
太陽光なし低い蓄電池だけを付ける動機が弱い

つまり「太陽光があり、かつ10年前後経っている家」が最有力です。 この2つを同時に満たす家を、どうやって見つけるかという話になります。

方法①:航空写真からパネルのある家を探す

これはできます。実測した結果です。

エリア建物パネルあり要確認
愛知県犬山市犬山462棟5棟19棟
京都府宇治市広野町380棟0棟6棟

ただし注意点があります。これは「見つけられた数」であって「実在する数」ではありません。

資源エネルギー庁のFIT公表データから推計すると、群馬県太田市の設置率は約22%、東京都世田谷区は約18%です。 実測で得られた5.2%(犬山市)や1.6%(宇治市)とは差があります。 地域差もありますが、見落としがあることは間違いありません

同じ家を0.48mと0.24mの航空写真で並べた比較。左では判別できず、右ではパネルの格子が見える
左が1画素0.48m(全国・無料)、右が1画素0.24m(自治体公開)。同じ家です。 パネルを「見つける」側の営業では、この差がそのまま見込み客の数になります。
出典:国土地理院 地理院タイル/犬山市 公共測量成果(CC BY 4.0)

太陽光の営業(パネルがない家を探す)では、見落としても「無駄足が増える」で済みます。 蓄電池の営業(パネルがある家を探す)では、見落とした家は最初から候補に入りません。 同じ精度でも、痛みの出方が違います。

方法②:年度別の航空写真で設置年を推定する

これは現時点では実用になりませんでした

国土地理院は年度別の航空写真を公開しているので、さかのぼって「パネルが写り始めた年」を探せば設置時期が分かるはずです。 実際に5地域で、何年度ぶんあるかを数えました。

地域利用できた年度の数
愛知県犬山市2年度
京都府3年度
兵庫県姫路市3年度
鹿児島市2年度
東京都練馬区3年度

2年度しかないと、「その2時点の間に設置された」ことしか分かりません。推定幅が5年前後になります。 「来年、買取が終わります」という話ができません。

詳しくは卒FITの家をリスト化できるかに書きました。

方法③:訪問時に聞き取って、記録する

これが一番確実です。そして、意外と軽視されています。

太陽光の営業で回っているとき、「もう付いてます」と言われる家があります。 太陽光の営業としては断られていますが、蓄電池の営業としては最有力の見込み客です。

そこで「いつ頃お付けになったんですか」と聞く。自然な会話ですし、お客様も普通に答えてくださいます。 これを記録しておけば、設置から10年経った年に、確実に連絡できる名簿になります。

聞き取ること使い道
設置した年卒FITの年が確定する(+10年)
おおよその容量提案する蓄電池の容量が決まる
設置した会社その会社がまだあるか/メンテナンスの状況

航空写真からの推定と違い、これは間違いようがありません。 断られた訪問を、数年後の資産に変えるやり方です。

ただし、断られた家への再勧誘は特定商取引法第3条の2で禁止されています。 「太陽光は要らない」と言われたことと「蓄電池の話を聞く意思がない」ことは別ですが、 勧誘を拒否された相手には連絡しない、という線引きが要ります。 記録するときは、断りの有無と設置年を別々に持っておくのが安全です。

方法④:FIT公表データで、地域の傾向を見る

資源エネルギー庁の「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」で、市区町村ごとの認定件数が公開されています。 個別の住所は非公開ですが、地域の傾向は読めます。

地域FIT認定件数(住宅用)推計の設置率
群馬県太田市13,819件約22%
東京都世田谷区13,576件約18%

設置が集中した時期が分かれば、その10年後に卒FITが集中します。 エリアを選ぶ材料としては、これが一番確かです。

まとめ ― 現実的な組み立て

  1. FIT公表データで、設置件数の多い市区町村を選ぶ
  2. 航空写真で、その地域のパネルがある家をリスト化する(見落としはある前提で)
  3. 訪問して設置年を聞き取り、記録する
  4. 10年後に確実に連絡できる名簿として、会社に残す

年度別写真からの自動推定は、現時点では3番目の代わりになりません。 地域によって使える年度が2〜3年度しかないからです。 ここは、できないと分かっているので、はっきり書いておきます。

よくあるご質問

卒FITの家を航空写真から見つけられますか

理屈の上ではできます。パネルが写り始めた年度が分かれば設置時期が推定でき、そこから10年で買取が終わります。ただし年度別の写真が5年度以上ないと数年幅の推定にしかなりません。

実際に何年度ぶんの写真がありますか

実測では犬山市2年度・京都府3年度・姫路市3年度・鹿児島市2年度・練馬区3年度でした。いずれも5年度に届かず、営業に使える精度になりませんでした。

ほかに卒FITの家を見つける方法はありますか

既設のパネルがある家をリスト化しておき、訪問時の会話で設置年を聞き取って記録していく方法が現実的です。1軒ずつ積み上がりますが、確実な情報になります。

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