コラム営業

訪問件数を増やすより、リストの精度を上げた方が早い理由

2026-08-14 ASI株式会社

結論

訪問販売の成果は「訪問件数 × 成約率」ですが、リストに設置済みの家が混ざっていると、その分は必ず無駄足になります。実測したエリアでは、判定が462棟中24棟(5.2%)を既設または要確認としました。件数を増やすより、リストから無駄を減らす方が担当者の疲弊を抑えられます。

訪問販売の成果は、突き詰めると掛け算です。 ところが掛け算のどこを触るかで、担当者にかかる負荷がまったく違います。 この記事では、その違いを実測した設置率の数字で確かめます。

成果の式

成果 = 訪問件数 × 話を聞いてもらえる率 × 成約率

ここで、リストが効くのは1つ目だけです。 2つ目と3つ目は営業のやり方で決まります。 ですからリストの会社が「成約率が上がります」と言っていたら、それは誇張です。

ただし1つ目には、掛け算に現れない目減りがあります。

実際に話ができる件数 = 訪問件数 - 既に設置済みだった家

この「既に設置済みだった家」は、必ず無駄足になります。玄関先で話が終わるからです。

無駄足はどれくらい出るのか

実際に測りました。愛知県犬山市の1エリア、462棟の判定結果です。

判定棟数割合
パネルなし438棟94.8%
要確認19棟4.1%
パネルあり5棟1.1%

判定は、このエリアの24棟(5.2%)を既設または要確認としました。 462軒を全部回れば、そのうち24軒は無駄足になります。

ただしこれは、比較的設置の少ない地域の数字です。 資源エネルギー庁のFIT公表データから推計すると、群馬県太田市は約22%、東京都世田谷区は約18%です。 5軒に1軒が設置済みという地域では、下調べなしで回ると2割が無駄足になります。

件数を増やすのと、無駄を減らすのは同じではありません

仮に、設置率2割の地域で1日100軒回っているとします。

訪問件数うち無駄足実際に話ができる件数担当者の負荷
今のまま100軒20軒80軒1.0
件数を1.25倍にする125軒25軒100軒1.25
無駄足をなくす100軒0軒100軒1.0

同じ100件でも、後者は歩く距離も時間も増えません。 「もう付いてます」と言われる回数が減ることの、担当者の気持ちへの影響も違います。

この表は、無駄足を完全になくせる前提で書いています。実際には航空写真の撮影時期や解像度の制約があり、 完全にはなくなりません。詳しくは「未設置」はどこまで信じられるかに書きました。

目減りするのは、時間だけではありません

訪問件数を増やすと、次のものも一緒に増えます。

訪問販売は、担当者が続けられるかどうかが最終的な律速になる仕事だと思います。 1日100軒で成約1件と、1日60軒で成約1件は、帳簿の上では同じでも中身が違います。

「判定できなかった家」を混ぜると、この計算が崩れます

ここが実務で一番効くところです。

さきほどの462棟のうち、19棟は判断がつきませんでした。木の影がかかっている、屋根の一部しか写っていない、といった理由です。 この19棟を「なし」に混ぜると、リストは457件になります。数字は良く見えます。

扱いリストの件数無駄足の見込み
要確認を混ぜる457件19件ぶん上乗せされる
要確認を別枠にする438件リストの中身は信用できる

リストを検討するとき、件数の多さで比べないでください。 「判定できなかった建物はどこに入っていますか」——これが一番効く質問です。

まとめ

よくあるご質問

リストに設置済みの家はどれくらい混ざりますか

地域によって大きく変わります。実測した愛知県犬山市のエリアでは、判定が462棟中24棟(5.2%)を既設または要確認としました。公式のFIT認定件数から推計すると2割前後の地域もあります。

訪問件数を増やすのと、リストを絞るのはどちらが効きますか

同じ成果なら、リストを絞る方が続きます。件数を1.2倍にすると担当者の負荷も1.2倍になりますが、無駄足を2割減らしても負荷は増えません。

判定できなかった家はどう扱えばよいですか

「なし」に混ぜてはいけません。判定できなかったものを営業対象に含めると、そこは高確率で無駄足になります。別枠に分けて、必要なら人が確認する運用にします。

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