太陽光が設置済みかを調べる方法 ― 5つの手段と、それぞれの限界
結論
特定の家に太陽光が設置されているかを調べる手段は5つあります。航空写真(解像度次第)、現地での目視(確実だが手間)、FIT公表データ(市区町村単位までで個別住所は非公開)、地図サービス(規約で解析が禁止されている場合がある)、聞き取り(確実だが手間)です。
「この家に太陽光が付いているか」を調べる方法は、5つあります。 それぞれ何が分かって、何が分からないかがはっきり違います。 実際に全部試したので、その結果を書きます。
5つの手段
| 手段 | 個別の家が分かるか | まとめて調べられるか | 費用 |
|---|---|---|---|
| ①航空写真 | 解像度次第 | できる | 無料〜 |
| ②現地で見る | 確実 | できない | 人件費 |
| ③FIT公表データ | 分からない | 市区町村単位なら | 無料 |
| ④地図サービス | 見える | 規約で制限あり | 無料〜 |
| ⑤聞き取り | 確実 | できない | 人件費 |
①航空写真 ― 解像度で結果が決まります
無料で全国をカバーしているのは、国土地理院の地理院タイルです。出典を明示すれば商用利用できます。
ただし地上解像度は1画素0.48mです。住宅用のパネル1枚(約1.65m×1.0m)は3.4画素にしかなりません。
出典:国土地理院 地理院タイル/犬山市 公共測量成果(CC BY 4.0)
| 写真 | 地上解像度 | パネル1枚 | 判別 |
|---|---|---|---|
| 国土地理院(全国) | 0.48m | 3.4画素 | 濃い屋根と区別できない |
| 自治体のオープンデータ | 0.24m | 6.8画素 | 格子が見える |
| 民間の20cmオルソ | 0.20m | 8.3画素 | 見える |
| 民間の5cmオルソ | 0.05m | 33画素 | はっきり見える |
0.24mの写真が使える地域は限られます。実測では京都府・大阪市・練馬区・姫路市・鹿児島市・犬山市・長浜市・朝来市の8地域、 合計で約536万人(日本の人口の4.3%)でした。東京都内で該当するのは練馬区だけです。
まぎらわしいもの
解像度が上がっても、次のものはパネルと間違えやすいので注意が要ります。
| まぎらわしいもの | 見分け方 |
|---|---|
| 折板屋根(工場・倉庫・車庫) | 縞が屋根の全面を端から端まで走る。パネルは屋根の一部に載る |
| 温室・ビニールハウス | 周囲に屋根がなく単独で建つ。白っぽく半透明 |
| 濃い瓦・スレート屋根 | 面全体が同じ色で、独立した矩形の輪郭を持たない |
| ブルーシート | しわが寄っていて輪郭が不定形 |
| 太陽熱温水器 | パネルより小さく、横に円筒形のタンクが付く |
②現地で見る ― 一番確実です
道路から屋根を見上げれば、確実に分かります。パワーコンディショナが外壁に付いていることもあります。
問題はまとめて調べられないことです。 実測したエリアは462棟と380棟でした。1軒ずつ行くのは、営業そのものと同じ手間になります。
使い方としては「航空写真で絞ってから、現地で確認する」の順番です。 現地確認を最初に持ってくると、下調べの意味がなくなります。
③FIT公表データ ― 市区町村までしか分かりません
資源エネルギー庁の「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」で、認定を受けた設備の情報が公開されています。
| 分かること | 分からないこと |
|---|---|
| 市区町村ごとの認定件数 | 個別の住所 |
| 設備の区分(10kW未満/以上) | 設置者の氏名(住宅用) |
| 認定を受けた年度の傾向 | 現在も稼働しているか |
実際に調べた数字です。
| 地域 | FIT認定件数(住宅用) | 戸建て数(概算) | 推計の設置率 |
|---|---|---|---|
| 群馬県太田市 | 13,819件 | 約6.2万戸 | 約22% |
| 東京都世田谷区 | 13,576件 | 約7.7万戸 | 約18% |
この用途は「エリアを選ぶこと」です。訪問先の特定には使えません。
認定件数には廃止済みの設備も含まれ、戸建て数も概算です。絶対値としてではなく、地域間の比較に使ってください。
④地図サービス ― 規約の確認が要ります
Googleマップなどの航空写真は、多くの場合、地理院タイルより高い解像度で見られます。 人が画面を見て確認するのは通常の使い方です。
ただし営業リストの自動作成に使うのは、規約上できません。 Google Maps Platform の規約では、次のことが禁止されています。
- コンテンツを機械学習モデル・AIモデルの訓練、テスト、改善に使うこと
- 衛星写真から建物の輪郭をトレースすること
- コンテンツをキャッシュ保存・再配布すること
詳しくはGoogleマップの航空写真を営業リストに使ってよいかに書きました。
⑤聞き取り ― 数年後の資産になります
訪問先で「もう付いてます」と言われたときに、「いつ頃お付けになったんですか」と聞く。 自然な会話ですし、お客様も普通に答えてくださいます。
これを記録しておくと、設置から10年後に卒FITを迎える家の名簿になります。 航空写真からの推定と違い、間違いようがありません。
太陽光の営業としては断られた訪問が、蓄電池の営業としては資産になります。 詳しくは蓄電池の営業先はどう探すかをご覧ください。
組み合わせ方
| 目的 | 使う手段 |
|---|---|
| 営業エリアを選ぶ | ③FIT公表データ |
| エリア内の訪問先を絞る | ①航空写真 |
| 行く直前に確かめる | ④地図サービス(人が見る)/②現地 |
| 次の営業機会を作る | ⑤聞き取りと記録 |
1つの手段で全部やろうとすると、どこかで無理が出ます。 ③で絞って、①で並べて、②④で確かめて、⑤で次につなぐ。これが実務の形だと思います。
よくあるご質問
特定の住所に太陽光があるか、公式データで調べられますか
できません。資源エネルギー庁のFIT公表データは市区町村単位までで、個別の住所は公開されていません。
Googleマップの航空写真で調べてもよいですか
人が画面を見て確認するのは通常の利用です。ただしGoogle Maps Platformの規約では、コンテンツをAIモデルの訓練やテストに使うこと、建物の輪郭をトレースすること、キャッシュ保存することが禁止されています。
一番確実な方法は何ですか
現地での目視です。ただし1軒ずつ行く必要があるため、訪問先を絞る段階では使えません。航空写真で絞ってから現地で確認する、という順番が現実的です。
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