コラム技術

太陽光が設置済みかを調べる方法 ― 5つの手段と、それぞれの限界

2026-08-14 ASI株式会社

結論

特定の家に太陽光が設置されているかを調べる手段は5つあります。航空写真(解像度次第)、現地での目視(確実だが手間)、FIT公表データ(市区町村単位までで個別住所は非公開)、地図サービス(規約で解析が禁止されている場合がある)、聞き取り(確実だが手間)です。

「この家に太陽光が付いているか」を調べる方法は、5つあります。 それぞれ何が分かって、何が分からないかがはっきり違います。 実際に全部試したので、その結果を書きます。

5つの手段

手段個別の家が分かるかまとめて調べられるか費用
①航空写真解像度次第できる無料〜
②現地で見る確実できない人件費
③FIT公表データ分からない市区町村単位なら無料
④地図サービス見える規約で制限あり無料〜
⑤聞き取り確実できない人件費

①航空写真 ― 解像度で結果が決まります

無料で全国をカバーしているのは、国土地理院の地理院タイルです。出典を明示すれば商用利用できます。

ただし地上解像度は1画素0.48mです。住宅用のパネル1枚(約1.65m×1.0m)は3.4画素にしかなりません。

同じ家を0.48mと0.24mの航空写真で並べた比較
左が1画素0.48m(全国・無料)、右が1画素0.24m(自治体公開)。同じ家です。
出典:国土地理院 地理院タイル/犬山市 公共測量成果(CC BY 4.0)
写真地上解像度パネル1枚判別
国土地理院(全国)0.48m3.4画素濃い屋根と区別できない
自治体のオープンデータ0.24m6.8画素格子が見える
民間の20cmオルソ0.20m8.3画素見える
民間の5cmオルソ0.05m33画素はっきり見える

0.24mの写真が使える地域は限られます。実測では京都府・大阪市・練馬区・姫路市・鹿児島市・犬山市・長浜市・朝来市の8地域、 合計で約536万人(日本の人口の4.3%)でした。東京都内で該当するのは練馬区だけです。

まぎらわしいもの

解像度が上がっても、次のものはパネルと間違えやすいので注意が要ります。

まぎらわしいもの見分け方
折板屋根(工場・倉庫・車庫)縞が屋根の全面を端から端まで走る。パネルは屋根の一部に載る
温室・ビニールハウス周囲に屋根がなく単独で建つ。白っぽく半透明
濃い瓦・スレート屋根面全体が同じ色で、独立した矩形の輪郭を持たない
ブルーシートしわが寄っていて輪郭が不定形
太陽熱温水器パネルより小さく、横に円筒形のタンクが付く

②現地で見る ― 一番確実です

道路から屋根を見上げれば、確実に分かります。パワーコンディショナが外壁に付いていることもあります。

問題はまとめて調べられないことです。 実測したエリアは462棟と380棟でした。1軒ずつ行くのは、営業そのものと同じ手間になります。

使い方としては「航空写真で絞ってから、現地で確認する」の順番です。 現地確認を最初に持ってくると、下調べの意味がなくなります。

③FIT公表データ ― 市区町村までしか分かりません

資源エネルギー庁の「固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト」で、認定を受けた設備の情報が公開されています。

分かること分からないこと
市区町村ごとの認定件数個別の住所
設備の区分(10kW未満/以上)設置者の氏名(住宅用)
認定を受けた年度の傾向現在も稼働しているか

実際に調べた数字です。

地域FIT認定件数(住宅用)戸建て数(概算)推計の設置率
群馬県太田市13,819件約6.2万戸約22%
東京都世田谷区13,576件約7.7万戸約18%

この用途は「エリアを選ぶこと」です。訪問先の特定には使えません。

認定件数には廃止済みの設備も含まれ、戸建て数も概算です。絶対値としてではなく、地域間の比較に使ってください。

④地図サービス ― 規約の確認が要ります

Googleマップなどの航空写真は、多くの場合、地理院タイルより高い解像度で見られます。 人が画面を見て確認するのは通常の使い方です。

ただし営業リストの自動作成に使うのは、規約上できません。 Google Maps Platform の規約では、次のことが禁止されています。

詳しくはGoogleマップの航空写真を営業リストに使ってよいかに書きました。

⑤聞き取り ― 数年後の資産になります

訪問先で「もう付いてます」と言われたときに、「いつ頃お付けになったんですか」と聞く。 自然な会話ですし、お客様も普通に答えてくださいます。

これを記録しておくと、設置から10年後に卒FITを迎える家の名簿になります。 航空写真からの推定と違い、間違いようがありません。

太陽光の営業としては断られた訪問が、蓄電池の営業としては資産になります。 詳しくは蓄電池の営業先はどう探すかをご覧ください。

組み合わせ方

目的使う手段
営業エリアを選ぶ③FIT公表データ
エリア内の訪問先を絞る①航空写真
行く直前に確かめる④地図サービス(人が見る)/②現地
次の営業機会を作る⑤聞き取りと記録

1つの手段で全部やろうとすると、どこかで無理が出ます。 ③で絞って、①で並べて、②④で確かめて、⑤で次につなぐ。これが実務の形だと思います。

よくあるご質問

特定の住所に太陽光があるか、公式データで調べられますか

できません。資源エネルギー庁のFIT公表データは市区町村単位までで、個別の住所は公開されていません。

Googleマップの航空写真で調べてもよいですか

人が画面を見て確認するのは通常の利用です。ただしGoogle Maps Platformの規約では、コンテンツをAIモデルの訓練やテストに使うこと、建物の輪郭をトレースすること、キャッシュ保存することが禁止されています。

一番確実な方法は何ですか

現地での目視です。ただし1軒ずつ行く必要があるため、訪問先を絞る段階では使えません。航空写真で絞ってから現地で確認する、という順番が現実的です。

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