訪問結果を紙とメモで管理するのをやめる ― 会社に何が残るか
結論
訪問結果を個人のメモで管理すると、担当者の退職とともに情報が失われます。地図上に会社の資産として残せば、翌月に同じエリアを回るときの判断材料になり、断られた家への再訪問も防げます。訪問を拒否された相手への再勧誘は特定商取引法第3条の2で禁止されています。
訪問結果の管理は、後回しにされやすいところです。 下調べを速くする方が効果が見えやすいからです。 ただ、記録が残らないことの損失は、下調べの時間より大きいと考えています。理由を書きます。
いま、どこに残っているか
| 情報 | どこに残るか | 担当者が辞めたら |
|---|---|---|
| 訪問先のリスト | 紙・エクセル | 残る(ただし古い) |
| 誰がどこを回ったか | 担当者のメモ | 消える |
| 断られたのか不在だったのか | 担当者の記憶 | 消える |
| 「また来て」と言われた家 | 担当者の記憶 | 消える |
| 次に行くべきタイミング | 担当者の感覚 | 消える |
リストは残るのに、そのリストを回った結果は残らない。これが問題の形です。
①法律の問題 ― 再勧誘は禁止されています
特定商取引法第3条の2第2項では、契約を締結しない旨の意思を表示した相手に対する再勧誘が禁止されています。
会社として守るには、どの家に断られたかを会社が知っている必要があります。 担当者Aが断られた家に、翌月担当者Bが行ってしまう——これは記録がなければ防げません。
さらに現実的な問題として、断られた家に二度行けば、その地域での評判が落ちます。 近隣で話が広まれば、そのエリア全体が回りにくくなります。
②同じことを二度調べる問題
訪問結果が残っていないと、翌月・翌年に同じエリアを回るとき、また一から始めることになります。
実測したエリアは462棟と380棟でした。1軒30秒で見ても、462棟なら3時間50分です。 これを毎回やり直しているかどうかが、記録の有無で変わります。
記録があれば、次はこう始められます。
- 前回「不在」だった家 → 時間帯を変えて再訪問
- 前回「断り」だった家 → 対象から外す(法律上の要請でもあります)
- 前回「検討する」だった家 → 優先して回る
- 前回から新築された家 → 新しく判定する
③担当者が辞めたときの問題
訪問販売は入れ替わりのある仕事です。 担当者が辞めたとき、その人が持っていた「このエリアの土地勘」は、記録がなければ全部消えます。
新しい担当者は、また同じエリアを一から回ります。 断られた家にも、また行きます。
何を記録すればよいか
多く取ろうとすると入力されなくなるので、最小限から始めるのが現実的だと思います。
| 項目 | 要る理由 |
|---|---|
| 訪問日 | いつの情報かが分からないと使えない |
| 担当者 | 引き継ぎのため |
| 結果 | 不在/断り/見込み/契約の4つで足ります |
| ひとことメモ | 任意。「夕方なら在宅」など |
このうち「断り」だけは、必ず取る必要があります。法律上の要請だからです。
入力してもらうための条件
記録の仕組みが定着しない理由は、たいてい入力の手間です。次の3つが揃わないと続きません。
- スマホで完結すること ― 帰社後にパソコンで入力、では溜まります
- 訪問直後に1タップで済むこと ― 玄関を離れた瞬間に押せる形
- 入力すると自分が楽になること ― 次に回る家が自動で決まる、など
3番目が特に大事だと思っています。 「会社のために入力する」だと続きませんが、「入力すると明日の行き先が決まっている」なら続きます。
紙とエクセルでもできること
ツールを入れなくても、次の2つは今日から始められます。
- 「断り」だけを共有の一覧にする ― 再勧誘の禁止を守るための最低限
- エリアごとに、いつ誰が回ったかを1行で残す ― 重複を防ぐだけでも効きます
この2つを紙でやってみて、追いつかなくなったら仕組みを考える、という順番でよいと思います。
ソーラーリストの場合
判定した建物がそのまま地図のピンになり、訪問結果をスマホから記録できます。 「断り」を記録すると、その家は次回以降のリストから外れます。
つまり下調べと訪問記録が同じ地図の上にある状態です。 この2つを別々のツールで持つと、突き合わせる手間が発生して結局続かない、というのが設計の理由です。
よくあるご質問
訪問結果を記録する法的な義務はありますか
記録そのものの義務はありませんが、断られた相手への再勧誘は特定商取引法第3条の2で禁止されています。誰に断られたかを会社として把握していないと、この規定を守れません。
紙とメモで管理していると何が困りますか
担当者が辞めると情報が消えます。同じエリアを翌月回るときにまた一から調べ直すことになり、断られた家に別の担当者が行ってしまうこともあります。
何を記録しておけばよいですか
訪問した日、担当者、結果(不在・断り・見込み・契約)の4つが最低限です。特に「断り」は、再勧誘を避けるために会社として持っておく必要があります。
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